ビル改修コラム

ビルの美観と修繕費用に差が出る?特注製作タイルと類似品の違いを解説!

ビルの美観と修繕費用に差が出る?特注製作タイルと類似品の違いを解説!
ビル改修や大規模修繕工事において、ひび割れや浮きのある外壁タイルの貼替は外観の美しさや資産価値に直結する重要な作業です。
都市部を歩いていると、外壁の一部だけタイルの色や質感が異なる建物を目にすることがありますね。これは、修繕時に新築時と同じタイルが用意できず、似たようなタイルで代用したために起こる現象です。

新築時に使われていたタイルが残されていれば、それを使うことで外観を美しく再現できます。しかし、在庫が無い場合は、「類似品」もしくは特注製作タイル(特注焼き)で対応することになります。

ビル改修や大規模修繕が行われるタイミングは、一般的に新築から12年〜15年後。この頃には、新築時に使用したタイルがすでにメーカーの生産中止になっているケースが大半です。
メーカーが持つ在庫には限りがあり、5年程度で生産が終了することも珍しくありません。そのため、修繕時には「まったく同じタイルを用意する」ことが難しくなってしまうのです。

本記事では、ビル改修や大規模修繕工事において重要なタイル貼替工事の流れをはじめ、特注製作タイルと類似品タイルの違いを比較しながら、特注製作タイル(特注焼き)が必要となる背景や、工事をスムーズに進めるための納期・発注タイミング、さらにコストの目安について、わかりやすく解説します。
ビル改修におけるタイル交換工事の流れ
ビル改修におけるタイル交換工事の流れ
ビル改修で外壁タイルの交換を行う際、まず既存タイルの状態調査から始まります。
打診調査をして、浮きや剥がれ、ひび割れなどの劣化箇所を特定します。
次に、劣化したタイルを撤去し、下地の補修を実施。下地の補修が完了したら、新しいタイルを貼り付けていきます。
このとき、既存タイルの在庫が無ければ、色や質感を合わせるため、特注焼きタイルや類似品タイルを使用します。
そして最後に、目地を充填し、しっかりと乾燥・養生を行って仕上げていきます。

全体の工程は、建物の規模や劣化の程度により数日から数ヶ月かかることもあります。
事前の綿密な準備とスケジュール管理が不可欠です。
類似品タイルと特注製作タイルの違い
類似品タイルと特注製作タイルの違い
類似品タイル
メーカーが現在流通させている在庫品の中から、色・柄が似ているものを選んで張り替える方法です。基本的に在庫があれば即納可能です。ただ、どうしても既存タイルと差が出て、目立ちやすくなります。

特注製作タイル(特注焼き)
既存のタイルに近づけるよう、オーダーメイドでタイルを焼き直す方法です。コストや納期はかかりますが、外観を違和感なく仕上げたい場合には最適な方法です。

類似品タイルは手配が早く、コストも抑えやすいのがメリットです。ただし、既存のタイルと色や質感の差が出ることも少なくありません。
仕上がりに違和感を残したくない場合は、多少のコストと時間がかかっても特注製作タイル(特注焼き)で対応する方が安心です。見た目にも自然で、修繕後も建物全体に統一感が生まれます。
特注製作タイルの製作工程と納期の目安、発注タイミング
特注製作タイルの製作工程と納期の目安、発注タイミング
つぎに、特注製作タイル(特注焼き)の製作工程と必要な期間についてご紹介します。

【製作の流れ】
①建物から既存タイルを数枚サンプルとして取り外す

②サンプルをもとに「見本焼き」を制作

③見本焼きを現地で確認し、オーナーや管理組合の承認を得る

④問題なければ、本製作(本焼き)へ

⑤現地に納品し、張り替え工事を実施

サンプルの準備から見本焼きの製作まで、平均して約1~2ヶ月ほどかかります。(※見本焼きを2回行う場合、タイル製作業者の繁忙期だと約4ヶ月かかることも。)
そのため、見本焼きの回数や建物の規模によって多少前後はするものの、発注は遅くとも着工の2ヶ月以上前に済ませておく必要があります。
つまり、タイルの選定は設計段階での早期判断がカギになります。発注が遅れると、全体工程に影響する可能性もあるため注意が必要です。
発注数量とコスト面の注意点
特注製作タイル(特注焼き)は、メーカーごとに「最低製作面積」が決められており、通常は25㎡~50㎡以上(マンション・ビルの外壁で使われることの多い45二丁タイル約5,000~10,000枚に相当)が必要です。
ここで押さえておきたいのが、まとめて発注する方が割安になるという点。
例えば100㎡のタイルが必要な場合、2回に分けて注文すると合計100万円になるところ、1回でまとめれば80万円程度に抑えられます。タイルの焼成は「窯の稼働回数」がコストに直結するため、後からの追加注文は割高になる可能性が高いのです。
次回(12~15年先)の改修工事を見据えて注文するのも1つの選択肢です。
ビル改修を計画する前に確認しておきたいポイント
タイルの修繕は、単なる外観の修復にとどまらず、建物の資産価値や長期的な維持コストにも大きく関わる重要な工程です。
とくに特注製作タイルを用いる場合、美観を損なわずに仕上げられる一方で、以下の点に注意が必要です。

・新築時と同じタイルが現存しているか、事前の調査が必要

・見本焼き、本焼きによる製作期間を踏まえた早めの発注が必要

・分割発注によるコスト増のリスクがあるため、数量計画が重要

こうしたポイントを押さえた上で、計画的にビル改修を進めることが、長期的に見ても賢明な選択と言えるのではないでしょうか。

ビルのオーナー様で、ご自身の建物に使用されている外壁タイルの状態や、今後の修繕計画に不安がある場合は、ぜひ一度サンウォールまでご相談ください。
ビル改修や大規模修繕に多数の実績を持つ当社が、調査から最適な修繕方法のご提案まで、責任を持って丁寧に対応いたします。