ビル改修で幅広く使われる長尺シートの魅力とは？ 特徴・費用・耐用年数について

長尺シートは、塩化ビニル（PVC）を主原料としたロール状の床材で、厚みは2〜3mm程度。
「長尺」という名の通り、ロール状で製造・供給されるため、広い面積でも継ぎ目を少なく施工できるのが特徴です。

表面には滑りにくい加工（エンボス加工）が施されているものが多く、デザイン性だけでなく安全性も考慮されています。
また、防滑性、抗菌性、防汚性、耐薬品性、遮音性など、目的に応じた様々な機能が付加された製品が開発されており、汎用性の高さも魅力です。

長尺シートは、人通りが多く、耐久性や美観維持が求められるビルの共用部で特に活躍します。
具体的には、摩耗に強く清掃しやすい廊下、防滑性で安全性を高める階段、そして建物の「顔」として美しさと耐久性を兼ね備えるエントランスホールなどに使用されています。

■長尺シートのメリット
①抜群の耐久性と耐摩耗性
耐久性に優れ、人通りの多い場所でも長期間にわたって美観を維持できます。

②優れた安全性（防滑性）
表面のエンボス加工や特殊な素材配合により、濡れても滑りにくい特性があります。

③簡単なメンテナンスと高い清掃性
汚れが染み込みにくく、日常の掃き掃除や水拭きで簡単に清潔を保てます。

④豊富なデザインと意匠性
木目、石目、抽象柄、単色など、非常に幅広いデザインやカラーバリエーションが用意されています。

⑤高い施工性とコストパフォーマンス
短期間での広範囲施工が可能で、初期費用は高めでもメンテナンスコストや耐用年数を考慮すると、トータルコストにおいて非常に優れています。

⑥機能性の多様性
防音、抗菌、防汚、耐薬品、帯電防止など、特定の用途に合わせた特殊な機能を持つ製品も多数存在し、様々なニーズに対応できます。

長尺シートのデメリット
①下地処理の重要性
シート状の素材であるため、施工する下地が平滑でないと凹凸がそのまま表面に現れてしまい、事前の適切な下地調整に費用と時間がかかる場合があります。

②熱に弱い性質
塩化ビニル樹脂が主成分のため、直射日光が強く当たる場所や、高温を発する機器の近くでの使用は変形や変色の可能性があり注意が必要です。

③部分補修の難しさ
部分的な貼り替えだけでは継ぎ目が目立ってしまうことがあるため、広範囲での貼り替えが必要になる可能性があります。

④導入コストの費用感
タイルカーペットやPタイルと比較すると、1平方メートルあたりの初期費用はやや高くなる傾向があります。

現在、ビル改修で特によく採用している長尺シートは、以下のラインナップです。

・タキロンQA（スタンダードモデル）
・タキロンRA（質感や耐久性を向上させた上位モデル）
・タキロンSA（高グレードモデル。意匠性や機能性に優れる）

「タキロンQA」が標準でコストバランスに優れ、RAやSAは上位グレードです。
カラーは落ち着きのあるグレー系が人気ですが、同一メーカー内でも製品ごとに印象が大きく異なるため、建物の雰囲気や用途に応じた選択が可能です。

サンウォールでの長尺シート施工にかかる費用は、共用廊下の場合1㎡あたりおおよそ3,500円〜4,500円が目安です。
施工面積や採用するシートのグレードによって変動があり、さらに下地の補修作業やシート端部のシーリング処理などの追加作業費が発生することもあります。
これらを含めたトータルの費用感としては、1㎡あたり7,000円〜8,000円程度となります。

階段については、1段あたり6,000円〜7,000円が標準的な施工費用で、下地調整や滑り止め処理、端部の仕上げなどをすべて含めると、1段あたり13,000円〜14,000円程度になります。

サンウォールでは、完成後のイメージを把握しやすいように、実際の床に貼り付けた仕上がりイメージ画像の作成も承っています。
素材の選定や色味に迷った際には、ぜひお気軽にご相談ください。

長尺シートは、その種類や使用環境によりますが、概ね10年〜15年が耐用年数とされています。
人通りが多い場所や直射日光が当たる場所では、この期間が短くなる可能性もあります。

シートの交換時期は、いくつかの劣化の兆候が見られた時です。
例えば、表面の著しい摩耗による光沢の消失や柄の薄れ、通常の清掃では落ちなくなった頑固な汚れ、シートが浮いたり剥がれたりしている状態、経年劣化による変色や素材の硬化、そして特に安全性が求められる場所での防滑性の低下などが挙げられます。
これらの兆候が見られた場合、美観の低下だけでなく、転倒リスクや衛生面の問題にも繋がるため、早期に専門業者へ相談し、交換を検討することが重要です。
適切な維持管理を行うことで、長尺シートはビルの資産価値と利用者の安全を長期間にわたり支え続けます。

こちらは実際にサンウォールで施工した長尺シート工事のビフォー・アフターです。

長尺シートは、その優れた耐久性、安全性、清掃性、そして豊富なデザインバリエーションによって、ビル改修・大規模修繕工事における床材の選択肢として非常に優れた素材です。
初期費用だけでなく、長期的な視点でのメンテナンス性や耐用年数を考慮すれば、コストパフォーマンスも非常に高いと言えます。

ビルの床材に求める機能やデザイン、そして予算に合わせて最適な長尺シートを選び、適切に施工・メンテナンスすることで、利用者にとって安全で快適なだけでなく、美しい空間を長く維持することができるでしょう。

ビルのオーナー様で、共用廊下や階段の床が経年劣化して滑りやすくなってきた、あるいは今後の改修計画に不安がある場合は、ぜひ一度サンウォールまでご相談ください。
ビル改修や大規模修繕の豊富な実績を持つ当社が、現地調査から最適な床材選定・施工プランのご提案まで、責任を持って丁寧に対応いたします。