ビル改修コラム

建設業界が取り組む週休2日制

建設業界が取り組む週休2日制
建設業界において休みが少ないというイメージは、長年解決すべき大きな課題とされてきました。
実際に他業種が当たり前のように週休2日制を導入するなかで、建設現場では日曜日のみの休日、いわゆる4週4休という過酷な状況が常態化していた背景があります。
しかし、こうした慣習が2024年に大きな転換期を迎えました。

きっかけとなったのは、2019年に施行された働き方改革関連法です。
この法律では残業時間の上限が罰則付きで定められましたが、建設業界にはその特殊性から5年間の猶予が与えられていました。
その猶予期間が明け2024年(令和6年)4月より、いよいよ建設業にも罰則付きの時間外労働規制が適用されることとなったのです。
なぜ建設業界に週休2日制が求められているのか
なぜ建設業界に週休2日制が求められているのか
建設業界における週休2日制の推進は、単に法律を守るためだけではありません。
その根底には、深刻化する人手不足と高齢化という危機的な状況があります。

現在の建設現場を支えているのは、ベテランの熟練技能者たちです。
しかし、次世代を担う若者にとって、休日が少なく、肉体的な負担も大きい今の環境は、決して魅力的な選択肢とは言えません。
他の業界がワークライフバランスを重視して進化するなか、建設業だけが取り残されれば、日本のインフラや住まいを守る技術は途絶えてしまいます。

そこで国土交通省が提唱しているのが、従来の3K「きつい」「汚い」「危険」を、新しい3K「給与が良い」「休暇が取れる」「希望が持てる」へと刷新する取り組みが進んでいます。
週休2日制の確保は、この新3Kを実現し、若者が将来に希望を持って入職できる環境を作るための避けては通れない最優先課題なのです。
時間外労働の上限規制がもたらす現場の変化
令和6年4月から始まった規制では、原則として時間外労働は月45時間・年360時間以内と定められています。
特別な事情がある場合でも年間720時間を超えることは許されず、これに違反した企業には懲役や罰金といった厳しい罰則が科される可能性があります。

この規制が本格化したことで、多くの現場では土日祝日の稼働を控え、計画的に週休2日制を確保する動きが強まっています。
しかし、これがスムーズに進むためには、発注者側(施主様)の理解も欠かせません。

建設現場、特に屋外での作業は天候に左右されます。
雨天で工事が止まれば、その分だけ工期は遅れます。
以前であれば、その遅れを取り戻すために土日を返上して作業を強行するケースもありましたが、今後はそのような無理な働き方は法的に制限されます。
つまり、これからの工事においてはこれまでよりも余裕を持った工期設定がスタンダードになっていくのです。
週休2日制の実現に向けた現場のリアルな課題
もちろん、理想の実現にはいくつかの大きな壁があります。

一つ目は収入の問題です。
建設業界では今なお日給制で働く職人が多く存在します。
週休1日制から週休2日制に変わるということは、稼働日数が月に4日程度減少することを意味します。
例えば日当1万5千円の職人であれば、月に6万円の減収になります。
これでは休みが増えても生活が成り立たなくなり、かえって離職を招く恐れがあります。
そのため、日給制から月給制への移行や労務単価の引き上げといった収入の補償がセットで行われなければなりません。

二つ目は工期と費用の調整です。
週休2日制にすれば当然、全体の工事期間は延びます。
工期が延びれば、現場の管理費や警備員の配置費用、機材のレンタル代なども増えていきます。
こうしたコストの増加を誰が負担するのか。
発注者側が休みを確保した適正な見積もりと工期を認め、双方が合意する文化が不可欠です。
施工品質と安全を守るための前向きな選択
施工品質と安全を守るための前向きな選択
私たち施主や関係者が知っておくべきなのは、適切な休息が取れている現場ほど施工品質が高まり、事故のリスクも減るという事実です。

疲弊した状態で急いで仕上げた工事とリフレッシュした職人が万全の体制で臨んだ工事では、数年後の仕上がりに差が出るのは明白です。
週休2日制を推進している会社は、それだけ従業員の健康と安全を大切にし、法令を遵守している誠実な企業であるとも言えます。

工期が以前より少し長くなることは、決して怠慢ではなく確かな品質を守り、次世代の職人を育てるための必要な投資です。
業界が新3Kへと生まれ変わる過程を社会全体で支えていくことが巡り巡って私たちの住まいや暮らしを守ることにつながります。
新しい4Kを目指す
建設業界には古くから根付いた慣習がありますが、私たちはそれを塗り替え、令和の時代に相応しい新4Kの実現を掲げています。
私たちが目指すのは、単なる労働環境の改善に留まらない「給与の高さ」「充実した休暇」「若手が希望を持てる環境」そして何より「かっこいい!」と思えるような魅力溢れる会社づくりです。

週休2日制の導入をはじめとする働き方改革は、この業界を真に価値あるものへと進化させるための確かな一歩です。

私たちがクリーンで希望に満ちた組織として成長し続けることは、お客様の大切な資産を次世代まで守り抜く堅実な経営の土台となります。
制度の施行から2年が経過し業界全体がより透明性の高い場所へと変わりつつある今、適正な工期と新しい働き方を追求していくこと。
それが巡り巡ってお客様への利益還元と、日本の未来を創り出す力になると確信しています。