ビル改修コラム

ビル改修竣工後に起こりがちなトラブル対応策

ビルオーナー様が定期的に対応しなければならない大規模修繕工事。不具合を解消するために行ったはずの大規模修繕工事が終わった後で、不具合が発生することが、実はよくあるのです。ビル改修・修繕工事後に起こりがちなトラブルの中でも、漏水による「雨漏り」が最も多く、次いで、「ひび割れ」や「塗装剥げ」のような改修・修繕したはずの不具合が多数発生しています。何年も工事費を積み立て、ようやく実施した改修・修繕工事が、次の大規模修繕の時期までもたずに数年後にトラブル発生では、ビルオーナー様、ビルを利用される方だけでなく、施工会社にとっても大きな問題です。ここでは、大規模修繕後のトラブルが起こらないようにするポイント、トラブルが起こったときのスムーズな対応方法、工事保証・アフターメンテナンスの重要性についてご説明します。
竣工検査で入念にチェック
竣工検査で入念にチェック
ビル改修・修繕工事が終わり、足場を解体する前に行うのが「竣工検査」です。竣工検査は、ビル改修・修繕工事がきちんと契約通りに行われたことを確認するもので、大規模修繕工事の検査の中でも重要な検査です。竣工検査では、ビルオーナー様が工事の施工責任者と一緒に、屋上から修繕箇所を確認しながら下階へと検査をしていきます。竣工検査で注意していただきたいのが、高所の修繕箇所です。足場を解体してしまうと、高所の修繕・改修部分が確認しきれなくなってしまいます。必ず足場を残した状態で、施工箇所を確認するようにしましょう。改修・修繕箇所が契約時の図面などの通りに施工完了しているか、施工箇所に塗装のムラや汚れがないか、施工の都合で撤去したものがあれば、きちんと元通りになっているかなども確認しましょう。竣工検査は外部の専門家に依頼することも可能ですが、施工業者と関係のない業者を選ぶようにし、利害関係のない第三者の外部専門家に依頼することも大切です。
保証期間・瑕疵保険・自主点検
ビル改修・修繕工事後にトラブルが発生した場合は、まずは施工会社に連絡して、迅速に対応してもらうことが大切です。そのためには、ビルオーナー様は、ビル改修・修繕工事後に施工会社の「保証期間」と「アフターメンテナンス」の内容をしっかり確認するようにしましょう。また、ビル改修・修繕工事後にトラブルが発生した場合でも、「瑕疵保険」に加入していることで、保険金でカバーされることがあるので、確認しましょう。瑕疵保険は施工会社が加入する保険で、ビル改修・修繕工事後に瑕疵によるトラブルが発生した場合は、その補修費用が施工会社の瑕疵保険の保険金から支払われるので安心です。ビル改修・修繕工事後のトラブルは、工事終了直後ではなく、数年後に発生するものです。工事終了時は、施工会社が点検をしているのでトラブルはありませんが、時間の経過とともにトラブルが発生してくるのです。トラブルも始まりは小さなことです。いざトラブルとなったときに、保証期間内に対応するためにも、オーナー様が定期的に自主点検を行うことも大切です。
保証書などの竣工書類を確認・保管
保証書などの竣工書類を確認・保管
竣工検査後は、契約書類や保証書など、ビル改修・修繕工事に関する書類を受け取ります。しっかりと内容を確認し、大切に保管しておきましょう。特に重要なのが保証書です。保証書がないと、保険金で賄える瑕疵による修繕が有償になってしまうことがあります。絶対になくさないように、いざという時にすぐ確認できるように保管しましょう。保証書の他にも、工事完了届、外壁補修図面、施工写真、変更仕様書、施工計画書など、多くの書類が提出されます。このビル改修・修繕工事の書類一式と分かるように、まとめて金庫などに保管しておくのがよいでしょう。
定期的なアフターメンテナンス
大規模修繕工事が終わった後は、次の大規模修繕工事までほったらかしにせず、定期的にアフターメンテナンスを行いましょう。大規模修繕は12年~15年周期を目安に実施されます。アフターメンテナンスを行わないと、10年以上も修繕・改修が行われないことになり、次の大規模修繕までに劣化が進んで修繕が難しくなったり、想定外の不具合が発生してしまう可能性が高くなります。施工業者の多くは、大規模修繕のアフターサービスとして、アフターメンテナンスを提供しています。保証期間に応じて、引渡しから1年、2年、3年、5年、10年後等に定期点検を行います。点検の結果、大規模修繕工事による不具合は無償で対応してもらえます。アフターサービスの内容やアフターメンテナンスの周期は、竣工検査後に受領した契約書類や保証書で確認しておきましょう。大規模修繕による瑕疵保証の期間は、工事する箇所や素材によって違いがあります。どの箇所の保証期間がいつまであるか、定期点検のタイミングがいつか等、スケジュールしておくとよいでしょう。