ビル改修コラム

ビルの大規模改修工事周期を長周期化!18年まで延長でコスト削減

ビルの大規模改修工事周期を長周期化!18年まで延長でコスト削減
ビルやマンションの長寿命化が重要視されている一方、当初の資金計画よりも工事費等の支出が増加し、適切な修繕が十分に行われないという問題が浮上しています。
特に、高齢化が進む日本においては、マンションの住民の高齢化と共に建物の老朽化も進み、管理費や修繕積立金から十分な工事資金が集められず、設備のメンテナンスや大規模修繕が不十分になってしまうケースも少なくありません。
適切な修繕を施さないと、建物の劣化が早まるだけでなく、資産価値の低下にも繋がります。
一方で、老朽化と高齢化問題を解決する糸口として、大規模修繕工事の周期を18年に延長する管理会社が増えてきています。
一般的には12年周期とされているビルやマンションの大規模修繕を、18年まで延長することで、総工事費を削減するという取り組みです。
ここでは、大規模改修工事周期の長周期化についてご紹介いたします。
各部位ごとのメンテナンス周期について
各部位ごとのメンテナンス周期について
ビルやマンションの修繕時期は、各部位ごとに異なります。
鉄部・外壁の塗装から屋上の防水、目に見えない建物の構造部分や給排水管、共用部分であるエレベーター等の設備改修等、修繕箇所は多岐に渡るだけでなく、資材の種類や環境条件などによっても耐用年数に違いが生じるため、これらを考慮して修繕スケジュールを立てることが重要です。
大規模修繕工事の時期については、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは12年程度と示されていましたが、近年では15年~18年周期で大規模修繕工事を計画するビルやマンションが増えてきました。
例えば、外壁塗装工事や屋上の防水工事等、足場を掛ける工事の回数を減らすだけで大幅なコストダウンに繋がります。
大規模修繕工事回数を減らしながら安全に使い続けていくためにも、建物の劣化状態を見極め、適切な修繕・管理をしながら長期的な計画を立てていきましょう。
大規模修繕周期延長でコスト削減を実現
大規模修繕周期延長でコスト削減を実現
大規模修繕工事の周期を従来の12年から18年に延長する背景には、「品質を保持しながら管理費や修繕積立金の負担を軽くする」という明確な目的があります。ビルやマンションの一般的な大規模修繕工事では、仮設工事(足場設置)の費用は工事費用全体の2割ほどかかると言われており、超高層ビルなどでは3割になることも。
節目である築60年までの大規模修繕工事回数をざっくりと数えると、12年周期の場合は4回なのに対し、18年周期なら3回で済むため、18年に延長することで維持管理コストを大きく削減できます。ですが、周期を延ばす分、耐久性の高い部材や工法を採用し、できる限り次の大規模修繕まで劣化を防ぎ、品質を保持する工夫が必要となってきます。
そのため、18年周期で大規模修繕工事を行う場合、1回の工事費用は割高になりますが、築60年までの費用をトータルで見れば総工事費が安くなるという仕組みです。

今後100年時代の到来と共に、建物の長寿命化は切っても切り離せない時代となっていきます。
品質を維持し、長く使い続けるためにも、将来を見据えた修繕計画や管理をしていくことが大切です。